轻松读懂日语经典作品
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ろくがつ
六月
相馬 泰三
「早稲田文学」1913(大正2)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,673 字 · 37 页
――あんなふうにして別れたのだから、お今はきっと自分を怨んでいるだろう。……事によったらお今はもうよそへお嫁に行ったかも知れない、などと思うたら、もう矢も楯もなくお今が恋しくなってたまらなくなった。……そして取るものも取りあえず、まるで夢の中でも走るようにここへやってきた。さっき宿の女中に尋ねたら、お今はどこへもお嫁に行かず、やはり達者で家で働いているそうだ。僕の心は今歓びで波うっている。僕はこれから出かけて行く。どんなことをしてもお今をもう一度きっと僕のものにしなければならぬ。願わくば君も僕の成功を祈ってくれ。
屋外には灰の雨がますます盛んに、サラサラと幽かな音を立てて降りしきっている。太陽の色はますます鈍く曇って来た。……僕は、何だか嬉しくてしようがない。僕は一生涯この高原から下らないかもしれない。……」
日本紙へ書いたのに、万年筆のインキが少くなってでもいたのかところどころにポテリと大きなしみが出来ていたりしてかなり読みにくかった。
そのころ、曽根の社では、(川へ落ちる)という言葉がはやっていた。人と人と議論でもしていると、そこへ行って(君たちの議論の行く手には溝川が流れているようだぜ、おっこちないように気をつけたまえ)とか、誰か新らしい計画でも初める者があると、(あの計画も行く行くは川に落ちてしまう