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かんこんそうさいはかせ
冠婚葬祭博士
佐々木 邦
「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1937(昭和12)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,762 字 · 30 页
「その間に八田君と湯浅君は課長になりました。これは会社の仕事ばかりしていたんですから昇進するのが当り前です。此方は葬式と婚礼の取扱いが巧者になるばかりで、些っとも能がありません」
「そんなこともないでしょうけれど」
「これでも帝大出の秀才です。同級から大臣が出ています。社長はその辺を考えてくれたと見えます。五年ばかり前から僕に詫びを言い始めました。『まあ/\、勘弁して置け。斯ういう大きい会社になると、矢張り冠婚葬祭博士が必要だ。誰かやらなければならない。貧乏※(「鬥<亀」、第3水準1-94-30)を引いたと思って諦めるんだ』と時々仰有いました」
団さんは冠婚葬祭博士のよって来る所以から今までに二百二十何組の仲人をしたことを長々と話した後、
「ところで宮崎君、今度は君の番だが、僕はもう構いません。自分で然るべき縁談を探したら宜いでしょう」
と突っ刎ねた。
「一つお序に願いたいと思っているんですけれど」
「いや、僕は何ういうものか、君のことになると神経を病むんです。特別に出世をする人と初めから見ていますから、冠婚葬祭博士の息をかけたくないんです。僕という人間は運が好くありません。