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げきのすきなこどもたちへ

劇の好きな子供たちへ

岸田 国士

「少年少女 第三巻第三号 別冊付録『劇の読本』」1950(昭和25)年3月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,550 字 · 15 页

青空文庫

5 劇はどうやったらよいか

しかし、劇といえば芝居のことである。芝居といえば、役者の芸を見せるものである。役者とは、昔、河原乞食とさえいわれた、いやしい職業のものを指すということになると、君たちの好きな劇は、いったいどうなるのか?

劇というものに対する誤解が、まだ君たちのまわりにあると思う。

劇は、けっして、本来、いやらしいものでも、あさましいものでもない。しかし、やり方しだいで、いやらしくも、あさましくもなるものである。

5 劇はどうやったらよいか

子供たちを見物とし、子供たちを演技者とする子供の劇は、ときにはおとなの助けをかりることはあっても、なるべく、子供たちだけの手で、はじめからしまいまで、やり通すのがいい。脚本をえらび、役をふりあて、稽古をし、装置や衣裳をくふうし、見物を集め、舞台の幕をあけ、見物をおくりだすまで、子供たちの智恵と力とを十分にふるうのがよい。

ことに、脚本のえらび方については、それをえらぶはんいを、信頼する大人の誰かに相談するだけにして、いくつかの候補作品のうちから、みんなでいろいろな意見をだしあって、どれかにきめるというふうにしたいと思う。

それが、なぜいいか、どこが面白いかを、みんなが十分にのみこんでかかるのが、一番、劇をやるのに大事である。