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げきのすきなこどもたちへ

劇の好きな子供たちへ

岸田 国士

「少年少女 第三巻第三号 別冊付録『劇の読本』」1950(昭和25)年3月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,550 字 · 15 页

青空文庫

秩序、火気、通風、清掃などのことに気をくばるもの、見物を気持よく劇場にみちびき、安心して席につかせ、忘れものや紛失物もなく家にかえす一切の世話をみるもの、劇のすんだあとのいろいろな始末をするもの、など、いずれも、みな、劇の仕事のなかにふくまれているのである。

子供といえども、このことを忘れて劇をするというのは、どこかで大きな間違いをおかしていることである。

劇の楽しさ、面白さは、舞台を中心とし、そのまわりにかもしだされるすべての人の、たがいにおなじ感動をわかちあうよろこびだ、ともいえるのである。

したがって、見物は、舞台に立つ人々とおなじように、あるていど、劇を楽しく、面白くすることができる。

それは、見物が、劇を見る立場にいながら、見せる立場の人々をよく理解し、これをげきれいしながら、十分に気をつくし、労をねぎらいながら、つねによき見物であるようにつとめるならば、おのずから、舞台は活気をおび、俗に油がのるという結果になるのである。そして、見物席の、しんけんでなごやかな空気は、それだけでも、見物のめいめいを愉快なすがすがしいきもちにさせる。

劇場は、まことに、社会のひながたである。