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どうりょくかくめいとにほんのかがくしゃ

動力革命と日本の科学者

中谷 宇吉郎

「文藝春秋」文藝春秋新社、1955(昭和30)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,399 字 · 27 页

青空文庫

当てずっぽうにいって、十年程度の年月はかかるであろう。いわんや既設の水力にとってかわることはまず考えられない。少し乱暴ないい方をすれば、水は無料だからである。

十年後火力が原子力に変った場合は、炭鉱業者が困りはしないかという心配もない。石炭は本来は燃やすのが勿体ないので、立派な化学工業の原料である。他に動力源が無いから、仕方なく燃やしているので、原子力が肩代りをしてくれれば、石炭はもっと有効に使える。

ついでに片付けておくが、原子力時代になっても、新しいダムの建設はやはり、有利な地点では、続行されるであろう。少なくもアメリカでは、そうであろうと思う。有利というのは、広い意味での言葉である。アメリカの総合開発におけるダムの役目は、第一に洪水防止、第二に灌漑用水であって、発電は副産物に考えられている。電気を起こしても、水は減らないからである。無料の電気ならば、いつの世になっても歓迎されよう。日本ももう少し国力がついて、計算ずくでその判断ができるようになったら、洪水の被害のことを思えば、有利なダムが建設される地点は、まだかなりあるであろう。

今の問題に関しては、どうでもいいような話であるが、ダムというと、日本中がダム熱にかかり、原子力発電というと、今にも日本中の電気が皆原子力で賄われる時代がくるような幻覚を描き