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ほっかいのなみにさらわれたが
北海の波にさらわれた蛾
小川 未明
「童話」1926(大正15)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,968 字 · 10 页
まだ自分たちは生まれてから、いままで生きてきたほど、この先も生きられるのだから、力を落とすことはない。」と、またほかの蛾がいいました。
「そんなことは、考えないほうがいい。」
蛾たちの話を、だまって聞いていたつばめは、
「ほんとうに、そうですとも。あなたたちの一日は、私たちの半年よりも、もっとおもしろく、愉快に、暮らしがいがあるのですから、そんなことを心配することはありません。まだ、あなたたちは、お若いのです……。」といいました。
「それで、あなたがたは、いつ、その島へお立ちになりますか。」と、蛾は、つばめにたずねた。
つばめは頭をかしげて、空を見ながら、
「それは、まだわかりませんが、きまったら、お知らせいたしましょう。」と答えた。
「どうぞ、お知らせください。私たちも、ごいっしょに立つようになるかもしれませんから。」と、蛾は頼みました。
はじめて、海の上を渡る蛾には、なんとなく心細く思われたからです。そして、つばめたちが、いいという日は、自分たちにも、いい日にちがいないと考えたからでした。
二、三日後の晩方でした。先日、話をしたつばめが、蛾たちのいるところへきて、明日、自分たちは、島に向かって出発することを知らせました。