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『じゅうはちじのおんがくよく』のさくしゃのことば
『十八時の音楽浴』の作者の言葉
海野 十三
「十八時の音楽浴」1939(昭和14)年5月5日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,122 字 · 7 页
しかも事実はそれに反して、科学小説時代はついに来なかった。純文芸の復興や、卑猥小説の擡頭などの計画とともに、十把一からげの有様で、ついに科学小説時代の件もがらがらと崩れてしまったのである。これでは本質的には何とも説明のつけようがない。味噌も糞も見分けがつかないほど、編集者が大狼狽した結果であるというしかいいようがない。科学小説にとっては、まことに不運なことであった。
尤も僕は、今日の編集者が、どれだけ正しく科学小説を育て得られるか、その点について予て大きな疑問を持っている。僕の結論をはっきり先に述べると、今日の編集者は、科学が普及しない時代に教育をうけた人達であり、また科学畑から出た人がほとんど見当らないところからいって、本質的に科学の味がわからないのである。だから科学物を取扱うためには、非常な勉強が入用だ。この勉強が嫌いな編集者だと、ついに科学小説的色盲となる虞れがあるようにおもう。
それに反し、科学小説をたいへん悦んでくれ、そして科学小説の味を理解してくれるのは青少年層だ。この人達は、科学が普及した今日の時代において教育され、そして科学隆興の中に刺戟をうけ、科学というものに大きな興味をもっている。