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ちよこ(さん)
千世子(三)
宮本 百合子
「宮本百合子全集 第二十八巻」新日本出版社、1981(昭和56)年11月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,906 字 · 54 页
あの書斎のひろい椅子に腰かけて青い顔をして居るのを見るのはほんとうに変なほど気味が悪いって。
やっぱり眼の上が落ちました、
そいで眼が大きく見える。
千世子はさっきの京子の言葉を思い出して笑いながら小さい鏡を立って持って来た。
その小さい中にうつる自分の顔を見ながら、
「まあ、ほんとですねえ。
少し気違いじみた色をして、
随分青いんですねえ私の顔は、
それにふだんだってそんなに赤ら顔じゃあありませんからよけいなんですよ。
肇はだまって千世子の顔を見つめた居た。
「ああ貴方も見つめる癖を持ってらっしゃる、
私もそう云うくせが有るんですよ。
「そうですか、
自分じゃあ気がつきませんがねえ。
もう初めて会った日から一月目の今日までに五六度会った肇はよっぽど話をする様になった。
話す時にも長い「まつ毛」を見開いて一つ所を見つめて居るのが癖だった。
「どうしてあの人はあんな亢奮した様な声をいつでも出すんだろう」
とさえ千世子は思った事があった。
今夜はなお余計そんな様子が見えた。
千世子は沈んだ様な声で話した。
「貴方は重い顔色をしていらっしゃる、
頭でもどうかしてるんですか。