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ちよこ(さん)
千世子(三)
宮本 百合子
「宮本百合子全集 第二十八巻」新日本出版社、1981(昭和56)年11月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,906 字 · 54 页
何が何だか一寸もわけがわかりゃあしない。
二人は大きな声で笑った。
そして京子は千世子のくぼんだまぶたを見ながら、
少し目が有るらしくなりましたねえ。
なんかと云った。
夕飯がすむとすぐ肇が来た。
千世子は自分の居る部屋へ通した。
「いかがでいらっしゃるんです?
顔を見るとすぐ肇はきいた。
「有難う、今日はこの通りなんです。
度々来て下すったんですか?
「いいえ、そんなに度々でもありませんけど、
二三度上りました。
篤さんと一緒に――
「女中がおことわりしたんでしょう?
そんな事私が云い出したんじゃあないんですけどね、ここに居る人が云いつけたんですよ。
千世子は京子を見返りながら笑った。
「貴方にさわると思ってですよ。
京子は不平らしく云いながらも一緒に笑った。
「でもねお陰でもうすっかりいい様になったんです。
頭もそう気になるほどでもなくってねえ。
今日は午後っからずーっと起きてるんです、
いいお天気でしたからねえほんとうに――
「ようござんしたねえ、
早く御なおりなすって。
篤さんも随分心配してましたよ、
あの人は去年貴方が悪くていらした時もしってるってそう云ってました。