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ちはやかんのめいろ
千早館の迷路
海野 十三
「ロック 増刊 探偵小説傑作選」1947(昭和22)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,829 字 · 50 页
「そうです。今、よく見えています。交替で監視を続けましょう。そして、もし誰かが千早館を出入りするようだったら、それはどこから出入りするのか、よく見定めるのです。……しかしこの仕事は退屈ですよ。まず三十分交替としましょう。始めはもちろん私がやります。あなたはそれまでぶらぶらそこらを歩くなり、草の上で仮眠をするなり好きなようになさい」
この仕事が如何に退屈なものであるかは、それからいくばくもなくして二人によく分った。さすがの帆村も、二時間目には退屈して下の池まで下りて散歩をした。それから戻って来た彼は、カズ子と、見張りを交替して、池の話をした。
「変った池ですね。水が牛乳のように白いですね。多量に石灰を含んでいる。しかしこの辺は他に石灰質のところを見かけないんだが、あの池だけが石灰質の池なのかなあ。そんなことは有り得ないと思うが……」
そんなことをいわれたので、春部カズ子はその池へ興味を持って、下へ降りていった。
その春部は十五分ほど経つと、息をせいせい切って帆村のところへ駆け登って来た。
「た、大変よ。恐ろしい発見をしたんです。ちょっと来て下さらない、池のところまでですの」