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はんのすけしゅうげん

半之助祝言

山本 周五郎

「キング」大日本雄辯會講談社、1951(昭和26)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,997 字 · 44 页

青空文庫

人品はなかなかである。しかしどう値ぶみをしても、世間知らずで気立てのよい坊ちゃん、ぐらいにしかふめなかった。

「どうですかなこれは、どんなものですかな」

「さよう、どんなものでしょうか」

前田甚内はじめ重役たちは首をひねった。念のために「使命」の点をたしかめると、

「ええ知っています」

彼はあっさり頷いた。あんまりあっさりしているので、それ以上なにも訊く隙がなかった。もちろんそれで安心したわけではないが、藩主の任命でもあるし、とりあえず住居を与え、実情査察のため半月の休暇を出した。

着任して五日めに、玄武社の幹部たちが、折岩半之助を招いて会食した。

玄武社は青年たちの自主的結社であって、十七カ条にわたるいさましい盟約があり、裄丈を一般より三寸短く裁縫した衣類を着るのと、頬髯をたくわえるのとで眼立つ存在だった。社中は三十七人、没頭弥九郎という剣術のうまい、頬髯の誰よりみごとな男がその指導者で、彼は「社長」と呼ばれた。

会食の席には没頭社長のほかに五人出席した。久保大六、葵太市、野口、仲木。そして、桃の花になにかの前兆を感じた立原平助。つまり玄武社の幹部である。