轻松读懂日语经典作品
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まんじ
卍
谷崎 潤一郎
「改造」改造社、1928(昭和3)年3月~1929(昭和4)年4月、6月~10月、12月~1930(昭和5)年1月、4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 133,618 字 · 258 页
その二十四
てるねんさかい、綿貫さいもうちょっと寛大な気持になったら、この先三人が仲好うして行かれへんいうはずないやないか――と、一方では綿貫の痛いとこおさえてて、賺かしたり威嚇したりしなさって、「あんたと此処で会うてる以上は、姉ちゃんにも来てもらう」いいなさって、私との交際には絶対に嘴入れんといてほしい、ぐずぐずいうのやったら綿貫捨てても私捨てへんいう覚悟見せなさったのんで、とうどう泣き寝入りになってしまいましてん。
その二十四
「……なあ、姉ちゃん、なんぼ親しい間柄かてこんなこというたら自分の恥やし、愛憎つかされるかも分れへん思てじっと辛抱しててんけど、もうもう今日は何も彼もいうてしもてんし。あてぐらい不仕合せなもん世の中にあるやろか。」――そないいいながら私の膝の上い打つ伏しなさって、涙でそこがびしょびしょに濡れるぐらい激しいに泣きなさるのんで、あんまりのことに何ちゅうて慰めたげたらええのんやら、――なんせ私の知ってる今日までの光子さんいうたら、花やかで、勝ち気で、いつもプライドに充ちた眼エ耀やかしてなさって、そんな辛い思いしてなさったとはちょっとも見えしませんのに、その高慢な、女王みたいにエラそにしてなさった人が、プライドも何にも放ってしもて泣き崩れてなさる様子だけでも、ほんまに思いの外ですねん。