轻松读懂日语经典作品
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まんじ
卍
谷崎 潤一郎
「改造」改造社、1928(昭和3)年3月~1929(昭和4)年4月、6月~10月、12月~1930(昭和5)年1月、4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 133,618 字 · 258 页
その十一
なんでかいうと、夫婦は宿屋の浴衣を借って博奕打ってたところいそういう騒ぎになったのんで、自分らの着物は向うの部屋にありますねんけど、何処までも密会者で通そうとするのんで、枕もとにあるのん着て行かんならんかった。そんで光子さんたちはやっとのことで逃れたもんの、戻って来たら、着物がない、財布や手提げぐらいそうッと置いといてくれたらええのんにそれもない、宿屋の主人まで挙げられてしもてて誰に相談しようもないし、帰るにも帰られへんし、それにもう一つ心配なんは、光子さんの手提げの中には阪急の定期券が這入ってましたし、男の方も名刺入れてあったんで、警察から家の方い電話かかったらえらいこッちやいうのんで、どうにもこうにも思案に暮れて私呼び出しましたんです。で、どうせ此処まで来てくれはる親切あるねんやったら、奥様かって光子さんのため思てくれはるねんやろよって、御迷惑でもこれから蘆屋まで光子さん送って行ったげて、今夜一緒に映画でも見てたようにいうて、万一警察から電話がかかっても、そこを何ぞうまいこというといてくれなされへんかいうのんです。
その十一
「なあ奥様、今夜のことさぞかしお腹立ちですやろけど、どうぞどうぞお願いします。