轻松读懂日语经典作品
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なんぽうゆうしん
南方郵信
中村 地平
「文學界 第五巻第四号」文藝春秋社、1938(昭和13)年4月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,899 字 · 42 页
また、誰もいない放課後の教室へあがりこんで、黒板に「ナガトモセンセイ」という字をいくつも書き並べて、悦に入ることもある。
お浜はいつも垢のたまった、裾が地べたを引きずるような、裾の長い紺絣の着物を着て、赤いメリンスの帯を小娘のようにだらしなくしめている。そして、時折り昔住んでいた豆腐屋の裏口にのっそりと姿を現わす。
「なんか、仕事があれば、してやろかい」
そして、それは長友先生が二階にいる時刻に決まっている。
いったい源吉爺さんは、性こりのない性分であるが、家鴨で旦那に叱られたことは、けろりと忘れたように、また、ある時三太をそそのかした。
「アコン、旦那に言って七面鳥を飼って貰いなさらんか。七面鳥の顔はいくえにも変って面白いですど」
しかし、その時も爺さんは旦那にこっぴどく叱られてしまった。
「七面鳥は郡長の奥さんじゃ。あんな横柄な鳥はわしゃ好かん」
郡長夫人は以前一度、旦那の家を訪ねてきた事があった。奥さんに愛国婦人会に入ることをすすめるためである。隣り町から夫人は人力車で乗りつけてきた。俥の幌を外ずさせ夫人は紫陽花色に澄みわたった初夏の空に、パラソルをぬっとかざしていた。