轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
なんがをかくはなし
南画を描く話
中谷 宇吉郎
「中央公論」1941(昭和16)年7月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,968 字 · 24 页
というよりも、どうにも絵にならない。
それに立体的に発達した結晶は、やはり濃淡をつける必要があるし、その上省略がなかなかむつかしい。おだやかな伊東の冬を火燵にあたりながら、顕微鏡写真を眺めては、結晶の特徴を考えて見るのは、ちょっとよかった。その方はすぐ考えがまとまって、必要な線も案外簡単に発見出来た。少くともそういう風な気持にはなれたのであるが、表現しようとなると、話がまた別になる。散々苦心をして結局出来上ったものは、雪菓子の包紙のようなものであった。気韻どころの騒ぎではない。二、三枚描いて見たが、ちっとも進歩の形跡が見えないので、そのままにして、時機の熟するのを待つことになってしまった。
その後大分経ってからのことであるが、或る日新聞の写真を見て、一つの発見をした。それは知った人の顔が沢山並んで小さく写っている写真であったが、それが皆ちゃんと誰れ彼れの顔に見える。一人の顔が小豆粒大に写っている写真である。よく気をつけて見ると、顔の形をなすものは大部分が黒くて、その一部に白い斑点があるだけのものである。中間の墨色のような所は殆んどないし、白い斑点の形も殆んどどの顔でも同じような恰好である。