轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

なんろ

南路

宮本 百合子

「太陽」1922(大正11)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 31,813 字 · 63 页

青空文庫

停車場の附近は一帯の黒人街で、いかにも南方の植民地らしく拱廊(アーケード)になった歩道の片側には、塵まびれの小店が、びっしりと軒を並べて詰っている。

屋蓋つきの荷馬車が、鞭で打たれるドンキーに挽かれて、後から後から凄じい勢で駈け去る車道の明るさと相反して、強い暗がりが、拱廊の奥を領している。

そのうちに、ストゥールにちょいと跨(またが)ったシャツ一枚の黒奴が、閃く眼と、古物の短銃、短刀、馬具類の金属を不気味に光らせて、行人を見守っているのである。

歩道を縫い、車道を横切って暫く行くうちに、自分は、人種が混雑し、感情と意欲が激しく錯綜した市街の空気を明に嗅ぎ知るような心持がした。それと、同時に、今の自分の心持とは、余りに懸け離れた雰囲気であることをも感じずにはいられない。

騒音や雑踏、絶間ない動揺は、もう飽きられた。どこか安らかなコオジー・コオナーに、暫くでも静に黙っていたいという欲望が、激しく自分達二人の胸を満しているのである。

然し、歩けば歩くほど、市中の喧囂に深入りしてしまう。

生憎、昼餐の前後なので、歩道という歩道は、暫時外気を楽しむ事務員や店員やで、溢れるように賑っている。