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また、いえ

又、家

宮本 百合子

「宮本百合子全集 第十八巻」新日本出版社、1981(昭和56)年5月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,120 字 · 13 页

青空文庫

ぐずぐずして居るうちに、さっさとひとが定めて仕舞うかもしれない。

始めて家を持とうと云う時には、貸家と云うものが如何那ものかも知らず、いつも完全に近い理想を持ち出しては、不満を申し立てた。けれども、暫く、強いても、此那家に住んで見ると、住居と云うものが、住人の趣味やケーアによって、如何那に変化するものか、又、一寸見はたまらないような場所でも、大体辛棒が出来れば、決して落胆せずに手を入れられると云うこと等が判って来たのである。

嘗ては、住心地のよいとか、カムフォタブルであると云うことは、もうちゃんとそう出来た家に於てでなければ、持ち得ないことのように思って居たのである。自分達が主であると頭では分って居るのだが、いざ家でも定めるとなると、家そのもののよさ、わるさが、却って、自分達を圧するような傾向があったのである。

台所は遣って呉れる人があると云う安心も、大きにあずかって力あることだろう。

瓦斯があり、風呂場がなくても建てる場所さえあって四辺が静かなら、外に希望はなく思ったのである。

今の家はひどい。表通りを荷物自動車が通ると、地震のように家中が揺れる。