轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

はんこう

反抗

豊島 与志雄

「国民新聞」1921(大正10)年8月4日~11月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 140,121 字 · 282 页

青空文庫

二十八

それは全く偶然の機会だった。

或る日周平がやって行くと、女中が慌しく玄関に出て来た。そして、茶の間の方へ彼を導いた。何だか様子が変だったので彼は尋ねた。

「どうしたんだい、今日は。」

「お客様ですよ。」

「そう。じゃあ隆ちゃんは?」

「坊ちゃまもお座敷の方ですが、一寸お待ちなさいよ、聞いてきますから。」

周平は一人茶の間にぼんやり待たせられた。暫くすると女中が戻って来た。

「すぐこちらへお出で下さいって。」

「僕に?」

「ええ。坊ちゃまのお祖母様がいらっしゃるんですよ。」

周平は立上ったが、一寸躊躇せられた。それでも女中がずんずん向うへ行くので、その後についていった。襖のこちらで足を止めると、「おはいりなさい。」と云う保子の声がした。彼はつかつかと中にはいって、誰にともなくお辞儀をした。

保子と向合って、米琉絣の対の羽織と着物とをつけた六十足らずの、上品なお婆さんが坐っていた。

「井上さん、」と保子は云った。「この方が隆吉のお祖母さんですよ。」

周平が何とか挨拶をしようと思ってるまに、向うから先を越された。

「隆吉の祖母の定子でございます。隆吉が始終お世話になっていますそうで、一度お目にかかりたいと思っておりましたが、自由にならない身でございますもので……。