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あいえんきえん
合縁奇縁
佐々木 邦
「キング」大日本雄辯會講談社、1950(昭和25)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,349 字 · 23 页
三度目の正直
僕のことを水鳥会の精神を裏切る賊徒だと言って罵ったそうだ。僕は町子さんの為めに尾崎君の御機嫌を取ったけれど、一こくな奴だから梃でも動かない。そのまゝ絶交の形になってしまった。
三度目の正直
親友と不仲になって面白くない日を送っているところへ、松本君が訪ねて来て用談を切り出した。僕を東京へやってくれると言った松本さんの息子だ。檀家だし、中学校の同級生だから、その後も時折顔の合う機会があったのである。
「君、僕のところの店へ来てくれないか? 今度は小さいながらも会社組織にして、拡張したから、何うにかなる」
「さあ」
「無理にも来て貰いたい。実は僕も親父の頓死の為め、上の学校へも行かずに後を継いで、近頃まで天手古舞いさ。漸く目鼻がついたから相談に来た。親父は君に何か約束をしていたようじゃないか?」
「うむ」
「今更仕方がないけれど、親父の意志を継ぐという意味で、君を重用したいんだ。それに昔馴染だから君の実力も人格もよく分っている。失敬ながら、今県庁で幾ら貰っているんだい?」
「三十五円で来て、一度上って、四十円さ」
「それじゃ百円で来てくれ給え」
「えゝ?」
「百円出すから文句を言いっこなしにしよう」