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どうしこばやしのぎょうせきのひょうかによせて

同志小林の業績の評価によせて

宮本 百合子

四月の二三の作品

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,207 字 · 11 页

青空文庫

二

同じく、プロレタリア作家の発展の本質を理解し得ないことから『国民新聞』に掲載された杉山平助氏の「小林多喜二論」も彼を支持しつつ誤った評価を結果している。杉山氏は書いている。「彼のごとき作家的才能のあるものが実践の為に精力をとられ、芸術的活動をそれほど鈍らせるのは大局から見て損失だ」という風に論じていたようであるが、私はそうは思わない。杉山氏によれば、同志小林は作家として「当面やるだけのことはやってのけてしまったような感がある」そして同志から惜しまれるのも「作家としてよりは寧ろオルグとしてではなかったであろうか」と云っている。三月号『改造』にのった同志小林の小説「地区の人々」の読後、杉山氏はその作品を「下降的」なものと感じ、この感想を洩らしているのである。果して実際そうであろうか?

成程「地区の人々」は終りになればなるほど小説としての具象性を描写の上に失っている。明らかにそれは一つのマイナスである。けれども、この「地区の人々」という小説は同志小林が初めてボルシェヴィク作家らしい著実さ、人絹的艷のぬけた真の気宇の堂々さで主題の中に腰を据え書きはじめたことを印象させ、その点で感動を与える作品であった。