轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
めいじんじごく
名人地獄
国枝 史郎
「サンデー毎日」1925(大正14)年7月5日~10月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 149,286 字 · 301 页
と米八は、何をにわかに考え出したものか、しみじみとしていい出した。
「どこがよくって惚れたのか、妾にゃまるっきり見当がつかない」
「オヤ、今度は恩にかけるのかい」
次郎吉はもっけな顔をした。
「なあに、そうじゃないけれどね、お前さんのためにゃほんとにほんとに、髪まで切られているんだからね」
「おっと、そいつアいいっこなしだ」
こうはいったが次郎吉も、これには多少こたえたらしい。
「どうだ、それでもすこしは伸びたか?」
「三月や半年で女の髪が、なんでそうそう伸びますかよ」米八は額で睨むようにした。
「あれは一生の失敗だった」むしろ次郎吉は慨然と、「厭がるお前を無理にすすめ、一幕うったほどでもねえ、たいした儲けもなかったんだからな」
「罪もない観世様をそそのかし、色仕掛けで巻き上げたまでは、まあまあ我慢をするとして、ご親友だとかいう平手さんに、駕籠から雪の中へ引き出され、鼓を取られたあげくのはてに、ブッツリ髷を切られたんだもの、悪い役ったらありゃしない」
「あんまり来ようが遅いので、心配をして迎えに出たら、アッハハハ、あの活劇さ」
「助けにも来ず、薄情者! 思い出すと腹が立つよ」