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ごじんのぶんめいうんどう

吾人の文明運動

大隈 重信

「東京神田青年会館で開催された大日本文明協会の講演会における講演」1915(大正4)年10月24日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,061 字 · 13 页

青空文庫

平易に説明すれば、学術の力である。

ここに於て、世界の最も優秀なる知識を表したところの種々の必要なる本を選択して、これを国民の多数に別とうというのは、実に時勢に適切な文明的運動の一つであるのである。著名なる学者方が選択して、これを続々刊行してなるべく広く知識を全国に別つ――これは迂遠なことのようであるが、これ一番近道である。無性な人は魚を気楽に取ろうとするから、魚が機敏に遁げる。淵に臨んで魚を羨むよりは網を作るに如かず。

これは次第に文明的競争に向って進む近い例がある。今日は米国とはほとんど兄弟の国のような非常な友国となっている。ところが誤てる独逸の政略のために露国は過って、十年前に日本と戦争を開いた。その時に欧羅巴は何と言ったか。ことに独逸は何といったかと言えば、白人を代表して東洋人の勃興を征伐すると言った。白人を代表して東洋人の俄に勃興したのを征伐することを夢想して、かつて独帝が悪魔が東洋から現れて来たから、君主、大統領、女皇、剣を提げて悪魔征伐に臨む画を書いた。これが黄禍論の起った根本である。東洋の悪魔征伐の名の下に正直なる露帝を、独帝の悪魔が誘惑して東洋に送らした。