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『わがはいはねこである』じょうへん

吾輩は猫である

夏目 漱石

一只没有名字的猫,蹲在主人身边看尽人间百态,吐槽起来比人类还犀利。跟着它的眼睛,你会发现这个世界有多荒唐又有趣。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 322,123 字 · 643 页

青空文庫

これが平均を破壊する第三の条件である。これほど不平があるなら、吾輩の頸根っこを捉えて引きずり卸したら宜さそうなものだが、鈴木君はだまって見ている。堂々たる人間が猫に恐れて手出しをせぬと云う事は有ろうはずがないのに、なぜ早く吾輩を処分して自分の不平を洩らさないかと云うと、これは全く鈴木君が一個の人間として自己の体面を維持する自重心の故であると察せらるる。もし腕力に訴えたなら三尺の童子も吾輩を自由に上下し得るであろうが、体面を重んずる点より考えるといかに金田君の股肱たる鈴木藤十郎その人もこの二尺四方の真中に鎮座まします猫大明神を如何ともする事が出来ぬのである。いかに人の見ていぬ場所でも、猫と座席争いをしたとあってはいささか人間の威厳に関する。真面目に猫を相手にして曲直を争うのはいかにも大人気ない。滑稽である。この不名誉を避けるためには多少の不便は忍ばねばならぬ。しかし忍ばねばならぬだけそれだけ猫に対する憎悪の念は増す訳であるから、鈴木君は時々吾輩の顔を見ては苦い顔をする。吾輩は鈴木君の不平な顔を拝見するのが面白いから滑稽の念を抑えてなるべく何喰わぬ顔をしている。