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『わがはいはねこである』じょうへん

吾輩は猫である

夏目 漱石

一只没有名字的猫,蹲在主人身边看尽人间百态,吐槽起来比人类还犀利。跟着它的眼睛,你会发现这个世界有多荒唐又有趣。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 322,123 字 · 643 页

青空文庫

近来は金田の邸内も珍らしくなくなったから、滅多にあちらの方角へは足が向かなかったが、こう御目に懸って見ると、何となく御懐かしい。鈴木にも久々だから余所ながら拝顔の栄を得ておこう。こう決心してのそのそ御両君の佇立しておらるる傍近く歩み寄って見ると、自然両君の談話が耳に入る。これは吾輩の罪ではない。先方が話しているのがわるいのだ。金田君は探偵さえ付けて主人の動静を窺がうくらいの程度の良心を有している男だから、吾輩が偶然君の談話を拝聴したって怒らるる気遣はあるまい。もし怒られたら君は公平と云う意味を御承知ないのである。とにかく吾輩は両君の談話を聞いたのである。聞きたくて聴いたのではない。聞きたくもないのに談話の方で吾輩の耳の中へ飛び込んで来たのである。

「只今御宅へ伺いましたところで、ちょうどよい所で御目にかかりました」と藤さんは鄭寧に頭をぴょこつかせる。

「うむ、そうかえ。実はこないだから、君にちょっと逢いたいと思っていたがね。それはよかった」

「へえ、それは好都合でございました。何かご用で」

「いや何、大した事でもないのさ。どうでもいいんだが、君でないと出来ない事なんだ」