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『わがはいはねこである』じょうへん

吾輩は猫である

夏目 漱石

一只没有名字的猫,蹲在主人身边看尽人间百态,吐槽起来比人类还犀利。跟着它的眼睛,你会发现这个世界有多荒唐又有趣。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 322,123 字 · 643 页

青空文庫

あくる日起きて見ると膏薬の下から糸屑がぶらさがって例の山羊髯に引っかかっていたのは滑稽だったよ」

「しかしあの時分より大分えらくなったようだよ」

「君近頃逢ったのかい」

「一週間ばかり前に来て、長い間話しをして行った」

「どうりで独仙流の消極説を振り舞わすと思った」

「実はその時大に感心してしまったから、僕も大に奮発して修養をやろうと思ってるところなんだ」

「奮発は結構だがね。あんまり人の云う事を真に受けると馬鹿を見るぜ。一体君は人の言う事を何でもかでも正直に受けるからいけない。独仙も口だけは立派なものだがね、いざとなると御互と同じものだよ。君九年前の大地震を知ってるだろう。あの時寄宿の二階から飛び降りて怪我をしたものは独仙君だけなんだからな」

「あれには当人大分説があるようじゃないか」

「そうさ、当人に云わせるとすこぶるありがたいものさ。禅の機鋒は峻峭なもので、いわゆる石火の機となると怖いくらい早く物に応ずる事が出来る。ほかのものが地震だと云って狼狽えているところを自分だけは二階の窓から飛び下りたところに修業の効があらわれて嬉しいと云って、跛を引きながらうれしがっていた。