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てつがくのげんだいてきいぎ

哲学の現代的意義

戸坂 潤

「唯物論研究 第六〇、六一号」1937(昭和12)年10月、11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,718 字 · 45 页

青空文庫

思想の科学

思想の科学

文学に於ける思想性云々ということがよく云われている。文学に就いての文壇的常識のマンネリズムによると文学は思想という何らか或るものとはさし当り無関係であるかのような想定であったとみていい。処へ文壇的文学(純文学其の他と呼ばれた)が一種の停滞を自覚せざるを得ないようになって、その停滞を何とか打破しようという処から、改めて文学の思想性ということが注目されるようになった。文学の社会性というものとの観念連合に於てである。従来の文壇的文学に所謂思想性が果して無かったか、それとも実はあったのか、今それは問題外としよう。少なくとも思想性という話題が自覚されて来たという現象に注意しようと思う。

確かにかつてのプロレタリア文学、つまり云わば左翼的文学であるが、これの最大の魅力は他ならぬその思想性にあった。いや寧ろその思想自身にあったと云っていい。だから最近の文学に於ける思想性という問題を提出したのは云うまでもなく、この左翼的文学であったわけだが、ここで私は、一般世間の思想というものに対する理解には、妙な点があったことを思い出す。と云うのは、一つには思想というと、何等かの学術的公式をそのまま露骨にむき出しにしたドクトリンのことであり、特に社会科学的ドクトリンのことでさえあるかのように考えられたものだ。