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てつがくのげんだいてきいぎ
哲学の現代的意義
戸坂 潤
「唯物論研究 第六〇、六一号」1937(昭和12)年10月、11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,718 字 · 45 页
民族性については、科学に関する限り、この位で片づけておいて、次に進もう。
文芸が一つの認識の様式であり、思想そのものの表現であることは前に触れた。之を一般に芸術全般に推し及ぼすことは容易であるが、今はそういう一般論に過ぎることは省こう。文芸の省察としての文芸学が、こういう意味に於て認識論にぞくさねばならぬ所以も、かつて説いた(「認識論としての文芸学」〔本全集第四巻所収〕)。そこでは科学と芸術乃至文学との原則的な内部的連関が問題であるが、そういうことを明らかにするものこそ、思想の科学としての認識論であったのだ。文学を思想様式・認識様式・の一つと見ない限り、この原則は決して発見されない。単に思いつきの比較に終らざるを得ない。漱石の『文学論』は日本語で書かれた内で最も考え抜いた文芸理論の著作であるが、それにも科学と文学との連関は極めて思い付き風のものを出でない。文学的F(焦点)と科学的Fとの差、Why? に答えんとするものと How? に答えんとするものとの差であるとも云い、科学は解剖を文学は総合をとも云う。科学者は「概念を伝えんとし」、文学者は「画を描かんとす」