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てつがくのげんだいてきいぎ

哲学の現代的意義

戸坂 潤

「唯物論研究 第六〇、六一号」1937(昭和12)年10月、11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,718 字 · 45 页

青空文庫

理論的反省や情緒的論証によって原印象を追跡することを知らない所謂印象批評は、印象の対象たる文化の現象から、法則を抽出するだけの労力も払わないし、まして法則をこの現象に適用するという準備もない。

印象批評に対するものは、文献学的批評だと考えられている。文学史家や文芸学者が文化現象(芸術作品其の他)に対する時、こういう批評をやるものとされている。この種の批評家は、芸術なら芸術について、一定の法則(カノン・コード)を有っているのを常とする。この法則にあて嵌まるか嵌まらないかで、芸術作品の価値を決定しようとする。尤もこの法則は、場合によっては芸術の価値尺度と考えられるカノンやコードではなくて、一種の社会法則に還元して持ち出されることもある。フリーチェの芸術社会学は、そういう意味に於ける「法則」を芸術の内に見出そうと欲する。之は他の点を論外とすれば、H・テーヌ的な「批評」であり、バックルや、一頃のルナンなどに類縁を持つことを否定出来ないので、所謂「科学的」批評(本当はあまり科学的ではないのだが)の流れにぞくする。だが芸術社会学にまで来れば、もはやクリティシズムではなくて、芸術の歴史記述の新種というものでしかあるまい。