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てつがくのげんだいてきいぎ

哲学の現代的意義

戸坂 潤

「唯物論研究 第六〇、六一号」1937(昭和12)年10月、11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,718 字 · 45 页

青空文庫

クリティシズムは結局に於て峻厳な価値評価を下すか又は之を想定するものだ。クリティシズムに於ける公平な第三者的態度は、常に一応のポーズ以上のものではない。

社会法則に還元されて了う限りの芸術法則は今は論外としよう。社会的法則であるにしてもないにしても、多少でも芸術の価値尺度としての法則である限り、文献学的クリティシズムは、法則の適用を以て批評の仕事とするものであり、而も或る既成の法則を以て仕事に臨もうとするのであるが、この法則が抽出されたのは、古来からの芸術作品という文献学的材料からなのである。つまり、文献学的クリティシズムは、古来の古典的な芸術から一定の典拠としての法則を予め文献学的に抽出しておいて、やがて之を眼前の芸術作品に適用しようというのである。従ってこうした文献学的クリティシズムは、多くはクラシシズムに立つのであり、クラシシズムの全盛時に発生している。ソポクレスをめぐるアリストテレスの詩学(『ポエティカ』)、ラシーヌをめぐるボアローの詩論など、その典型であろう。

こういう文献学的クリティシズムに反対するのが、最も優れた意味に於ける印象批評である。