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『ゆいけんニュース』

『唯研ニュース』

戸坂 潤

「唯研ニュース」1933(昭和8)年11月20日号~1938(昭和13)年2月15日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,567 字 · 35 页

青空文庫

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無念と云えば無念である。東道の主たる巌木君など柄になく心臓を弱らし、注射を打たなければならなかった程だ。

私もアイスクリームの食べすぎで下痢を始め、田甫の真中の巌木君の家で、丸一日の静養を必要とした。中野君はプロ文学の愛読者である厳父の下に走ったが、僕は悄然として、七日の早朝、上野のホームに下り立ったわけである。

富山県の文化人諸君に会って土地の文化状勢を聞くことの出来たのは、かけがえのない利益であった。聞けばその後同人雑誌のプランも熟したとかいう。この地方を開拓(?)したことは、何と云っても愉快な記憶として残る。(一九三七・八)

(七七号、一九三七・八・一五)

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『土』を読んだのは、もう二十年近くの昔であるように思う。何でも四六判よりも小さくて厚い四角な本だったと思う。読む気になったのは、漱石の有名な言葉に従ってである。俺の娘が大きくなって帝劇だの三越だのと云い出した時、この小説を読ませてやりたいというような意味だった。帝劇は当時高級劇場だった。

併し読んで見て、正直な処、読みづらくて退屈であったという印象が今でも消すことを得ない。それでその後読み直して見るという程の勇気も出なかった。