轻松读懂日语经典作品
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ぜんあくりょうめんねずみこぞう
善悪両面鼠小僧
国枝 史郎
「ポケット」1925(大正14)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,231 字 · 21 页
そうして雨戸を窃っと開けた。それから障子を窃っと開けた。
ヒョイと覗くと次郎吉は端然と床の上に坐っていたがグッと振り返ったその顔付!
「あっ!」と云うと後ピッシャリ、気丈なお松ではあったけれど、バタバタと縁を飛び下りると、主屋の方へ逃げて来た。
出合い頭に若衆の喜公、
「どうしやしたお神さん? 顔の色が蒼白ですぜ」
「あのね。……」と云ったが後は出ず、店へ来ると長火鉢の前へグタグタとなって膝を突く。
「何だろうあれは? 化物かしら? 内の人が消えてなくなってその代わりにあんな小男が。……ひしゃげた鼻、釣り上った眼、身長と云えば四尺ばかり……それが妾を睨んだんだよ」
お松は体を顫わせてこの解き難い不思議な謎をどう解こうかと苦心した。
どう解こうにも解きようがない。
水の垂れそうな若侍
細川侯の下邸では、不思議な噂がパッと立った。
「乃信姫君にはこの日頃ちょうど物にでも憑かれた様にうつらうつらと日を暮らされ、正気の沙汰とも見えぬとのこと、不思議なことではござらぬかな」
「夜な夜な若い美しい男がお寝間へ忍ぶと云うことじゃ」
「あまり姫君がお美しいので妖怪が付いたのでござろうよ」