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しじゅうふわく
四十不惑
佐々木 邦
「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1952(昭和27)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,633 字 · 26 页
中老だ」
「中老なんか眼中にありませんわ」
「分っているよ」
「お分りになるまで大変でございましたわ」
「もうそんなに言うな」
と僕は極めつけた。
四十にして惑わずというのは孔子さんが定めた古い規矩準縄でない。四十男一人々々に対する註文だ。誰しも四十になると、結婚生活が十年以上続いて、倦怠期に入っている。女房はいよいよ小皺が寄る。二十代のピチ/\した女性が目につく。年が違うから物にならないことは分っているけれど、何とかならないものでもないという不逞な心持がある。それでつい惹かされる。孔子さんはそこまで見通して、四十になったら特に惑わないように註文をつけているのである。僕は小柴さんによっていゝ教訓を受けた。もう惑わない。惑っても駄目だ。
(昭和二十七年一月、講談倶楽部)