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あかげっと しなあちこち

国枝史郎歴史小説傑作選

国枝 史郎

国枝史郎『国枝史郎歴史小説傑作選』。同一底本的分册已合并为一书。收入:赤げっと 支那あちこち、印度の詩人、今昔茶話、支那の思出、世界の裏、全体主義、独逸の範とすべき点、日本上古の硬外交、秀吉・家康二英雄の対南洋外交、ヒトラーの健全性、ローマ法王と外交。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 59,334 字 · 121 页

青空文庫

九 裏の事情

……特に婦人におつかわしになる文章が……」

「もうその辺でよろしい」

難問題は、数日後、墺国に有利に解決したそうである。

九 裏の事情

今度の独ソ戦争で、常識的に思い出されるのは、ナポレオンのモスコー遠征であろう。

ナポレオンがモスコーを遠征したのは、即ち、露国を征伐したのは、勿論、ナポレオンの英国に対する封鎖政策に、露国が協力しなかったのが大きな原因なのであるが、それ以外に、小さないくつかの感情問題があったのである。

そうして夫れは、女と外交官に関係あることなのである。

第一には、ナポレオンが、皇后ジョセヒンに子がないところから、これを離別し、露国皇帝の皇妹を皇后として迎えようとしたところ、露帝アレキサンダー一世は、大体承諾したが、皇太后が反対して成立せず、それをナポレオンが心よく思わなかったことである。

第二は、その露国皇太后が音頭取りで、国内に排仏熱を高め、駐露仏国公使サバリーに対し、皮肉な、陰険な、女性的迫害を加え、首都ペテルブルグ中で、泊るに旅館の一室をも貸与しないような酷遇をしたことである。

ところが、このサバリーが、又、めずらしい、女性的な、愚痴っぼい外交官で、そういう自分に対する私的の迫害を一々本国へ通知し、それがナポレオンの感情を害した。