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あかげっと しなあちこち

国枝史郎歴史小説傑作選

国枝 史郎

国枝史郎『国枝史郎歴史小説傑作選』。同一底本的分册已合并为一书。收入:赤げっと 支那あちこち、印度の詩人、今昔茶話、支那の思出、世界の裏、全体主義、独逸の範とすべき点、日本上古の硬外交、秀吉・家康二英雄の対南洋外交、ヒトラーの健全性、ローマ法王と外交。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 59,334 字 · 121 页

青空文庫

三

と絶叫した。この僧の風采は、短躯矮小みるかげもないものであり、身には襤褸をまとい腰には縄の帯をしめ、醜穢をきわめていたものの、手に十字架を握り驢馬にまたがり、一度口をひらくや熱弁奔流の如くにほとばしり聞く者をして涙を流させ切歯扼腕させた。上は王侯から下は一般市民をまで感激させたのである。

この噂を耳にした時ウルバン二世は、「やっと機会が来た。そういう狂信家が出て聖地清掃を叫ぶというのは、天に口無し人を以って云わしむで、キリスト教徒全体がエルサレム恢復を熱望している証拠だ。わしは起とう!」と決心した。折柄そこへ東ローマ皇帝からの使者が来て「トルコ人侵寇を防衛するために法王の援助を乞う」という旨を伝えた。「いよいよ思う壺だ。では至急兵を募り、東ローマ皇帝と力を合わせ異教徒を征め、一には羅馬法王の勢力を強め、あわよくば東西二派に分れているキリスト教を合一させ、その元首となろう」といよいよ決心の臍を固めた。キリスト教は遥の以前から、東ローマ皇帝を戴くギリシャ正教(東)とローマ法王を戴くローマ正教(西)とに別れ、事毎に争っていたからである。

三

こうしてウルバン二世が聖地恢復の遠征軍を起こすべく南フランスのクレルモンへ諸国の城主、貴族、僧侶を招集して大会議を開いたのは西暦一〇九五年十一月十九日のことで、この日法王は