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あかげっと しなあちこち
国枝史郎歴史小説傑作選
国枝 史郎
国枝史郎『国枝史郎歴史小説傑作選』。同一底本的分册已合并为一书。收入:赤げっと 支那あちこち、印度の詩人、今昔茶話、支那の思出、世界の裏、全体主義、独逸の範とすべき点、日本上古の硬外交、秀吉・家康二英雄の対南洋外交、ヒトラーの健全性、ローマ法王と外交。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 59,334 字 · 121 页
そして石ですら元素界以外に存在するか? 地球は大空を外にして考えられるだろうか? 存在する一切のものは全体の一節として存在するばかりである」
まことに解りよい、そうして深い意味を持った、尤至極の言葉だと思う。わけても「いかなる動物も仲間なくしては存在せず」という言葉からはクロポトキンの、双互扶助論が連想され「石ですら元素界以外に存在するか?」の言葉の内容に至っては、極わめて卒直なる科学的なる、唯物的なる、実証的なる思想によって裏付けされていることに想到するであろう。
全体主義に哲学が無い、思想が無いなどと云為されて来たことが、これでノンセンスになったことを知るであろう。
それに、大哲カントやヘーゲルを産んだ独逸が、思索的な、余りに思索的な独逸人が、全体主義に、ほんとうに首肯すべき哲学が無かったならば、何んでヒットラーの下に、全体主義を奉じて刻苦経営しようぞ。
さて我等は国民である。国民は国家の一節であり一細胞である。
国家という全体が――即ち母体が、衰滅に帰したならば、その細胞であり一節である国民が衰滅することは必然であろう。
では国家がその全体性を活かす必要上統制経済を執行する場合、国民は喜悦して夫れに順応し、それから発生する一時的の物の不足や不自由を克服すべきは、当然と云わずして何んぞやである。