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こくみんがっこうへのかてい

国民学校への過程

宮本 百合子

「オール女性」1941(昭和16)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,272 字 · 5 页

青空文庫

昭和十四年には、その春小学校を卒業した子供たちの三九パーセントがそれぞれ就職している。九十二万五千九百五十五人という少年少女が、労働の給源となった。それでさえ、求人の四割を充しただけで、公の職業紹介によらない斡旋屋は、小学生一人について三十円の手数料さえむさぼったと記録されている。

八年制の国民学校を卒業した少年少女たちは、やっぱりそのようにして勤労の生活に入ってゆくのであろうが、その需要に即してみれば、六年を終っただけの子供より働く少年少女としての肉体と精神との能力は、余程高められているわけになるのは明白である。使う人はその高められた能力を一杯につかうだろう。

小学校を出たばかりの子供と、高等科を終った子供とでは今日貰っている給料がちがう。国民学校を卒業して就職する何十万かの少年少女は、高等を出た並の給料を貰うことが出来るのだろうか。

炭や砂糖が切符になったが、配給の炭を買う金がなくて、切符をフイにしている世帯が東京に決して少くない。小学校に入れはしたけれど、卒業させるだけの六年間が待てなかった切ない親が何万人かあるのも明日にかわらぬ実際だろう。