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こくさいさつじんだんのほうかい
国際殺人団の崩壊
海野 十三
「新青年」1931(昭和6)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,767 字 · 31 页
そこは、悪性な銀座裏のカフェの中でも、とかく噂の高いエロ・サービスで知られたバア・ローレライであった。椋島技師は、午前十時のバアの扉を無雑作に開くと、ツカツカと奥へ通り、そこに二階に向ってかけられた狭い急勾配の梯子段の下に靴をぬぎとばすと、スルスルと昇って行った。二階は真暗であった。ムンと若い女の体臭が鼻をつく。
「キミちゃん居るかい」彼は暗中に声をかけた。
「ああ、ムーさんだわね、向うから二番目に、キミちゃん、まだ寝ているわ」と女給頭のお富が彼の膝頭の辺から頓狂な声をあげた。
「そうか。僕は二時頃まで、ちょいと寝たいんだ、あとからウンと奢ってやるから大目に見るんだぜ。それからお富姐御すまないけれど、その時間になったら、コックの留公に用が出来るんだから、どこにも行かずに待たせて置いとくれ。もう二時まで、なんにも口をきかないからな、話しかけても駄目だぜ」
云いたいことを云ってしまうと、彼はオーバーを脱いだり、バンドをゆるめたりして、イキナリ、おキミの寝床にもぐり込んだ。ぼそぼそと、しばらくは小声で話し合っているらしかったが、やがておキミは寝床から出て行って、あとには椋島一人が、何か考え悩んでいるものか、転輾反側している様子だった。