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こくさいさつじんだんのほうかい

国際殺人団の崩壊

海野 十三

「新青年」1931(昭和6)年5月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,767 字 · 31 页

青空文庫

その研究題目は「化学による生物の人造法」というのである。外の学者が五十年かかるところを、博士は十年で成績をあげている。

「開け、ごまの実」と廊下を飛ぶようにやって来て、博士の扉の前に立った白い実験衣の小柄の青年学者が大きな声で叫んだ。

「どなたですか?」と内側から博士の扉の番をするロボットがやさしい婦人の声を出して訊いた。

「松ヶ谷研究員です」

すると扉が開いた。若い松ヶ谷学士は、全身に興奮を乗せて躍りこむように所長室にすべりこんだ。

「先生、今朝の新聞をごらんになりましたか」

「これから見るところじゃ」と鬼村所長は答えた。博士は先刻のペデストリアンと同じ姿勢をして静かに室内を歩き廻っているのであった。帽子も外套もとらずに、

「何か異ったことでもありましたかい?」

「昨夜、丸の内会館で、薬物学会の幹部連中が、やられちまいました。松瀬博士以下土浦、園田、木下、小玉博士、それに若い学士達が四五人、みな今暁息をひきとったそうです」

「うん、松瀬君もやられたか」と博士はちょっと押黙って何事かを考えているようであったが、相変らず室内散歩の歩調をゆるめはしなかった。「気の毒なことじゃのう」