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とさのくにばしら

土佐の国柱

山本 周五郎

「読物文庫」1940(昭和15)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,375 字 · 35 页

青空文庫

絵のような舞い振りだった。

池藤小弥太は、近習番のなかでも評判の美男で、背丈は六尺に近く、白皙の顔に一文字の濃い眉と彫の深い唇の線とが、ひどく印象的な感じを与えている。頭もいいが、腕も出来るし、そのうえ、誰からも愛される柔和な人柄を持っていた。

ここは高知城下とは国分川を隔てた、五台山の中腹にある播磨屋の別屋敷だった。……播磨屋は長曽我部氏の時代から、土佐随一の海運業者で、山内氏の世になっても、御用商として重く用いられている関係から、随時その別屋敷を、家中の士に開放していたのである。今日は殊に若手の者ばかり二十余人、浦戸からあそび女まで呼んで、無礼講の騒ぎをやっているのだった。

併し、ここでばか騒ぎをやっているのが全部ではない。この棟のうしろが丘になっている。その丘の松林のなかにもうさっきから六人の若侍たちが集っていた。……堂上喜兵衛、渡辺勝之助、林久馬、林甚三郎、庄野九郎兵衛、神谷伝之進。みんな先手組でも選り抜きの者たちで、堂上はいちばん年長でもあり、またその組頭でもあった。

「仕様がないな、いつまで待たせるんだ」

「忘れているんじゃないか」

「そう云えば、だいぶ酔っていたぞ」