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とさのくにばしら
土佐の国柱
山本 周五郎
「読物文庫」1940(昭和15)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,375 字 · 35 页
九
そして母が静かに去ると、更にもうひと膝進みながら、
「小百合どの」
と低く力を籠めて云った。
「拙者にも大抵は、察しがついているのです。自害すればそれで貴女自身のことは、解決できる。けれどそれだけで宜しいのですか。拙者はお父上が土地の豪族たちと密会し、尚また関ヶ原の残党どもを」
「池藤さま、……申上げます」
九
小百合は堪り兼ねたように、小弥太の言葉を押切って云った。
「なにもかも申上げます。……貴方さまが御存じならば、黙って死んでも罪は消えませぬ。仔細を申上げて御処分を受けまする」
「さあ伺いましょう」
「父は、……謀反を企んで居ります」
小百合の言葉は、先ず意表を衝いた。……小弥太はごくっと喉を鳴らしたが黙っていた。
「大通院さま御他界この方、当うえさまはじめ、御老職がたにとかく疎んぜられるとか申し、父はたいそう僻んでいたようでございます。そのうちにふと安芸郷の住江宮内さまと往来なさるようになり、次々と郷士の人々を語らいまして、今では土佐で勢力のある豪族たちは、殆ど味方につけてしまいました」
「それで、貴女が謀反と云うのは、全体どのようなことですか」
「父の様子が余りに不審でございますから、わたくしは絶えず注意をして居りました。