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ちきゅうようさい
地球要塞
海野 十三
「譚海」1940(昭和15)年8月~1941(昭和16)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 71,834 字 · 144 页
そこで、人間が、林檎をもち上げると、二次元の世界から、直ちに林檎は消え失せる。ただ林檎の匂いだけは残る。
そういう訳で、こんどは反対に、四次元の世界を考えることが出来る。四次元の世界は、残念ながら我々は三次元の世界の生物だから、どんな世界だか知る力が欠けている。その世界には、横と縦と高さの外にもう一つ、何か形をこしらえている軸があるのだ。そういう四次元の世界から、われわれ三次元の世界の人間を見れば、それは、われわれ人間が、白紙の上に棲んでいると仮定した二次元の生物を見るのと同じことである。だから、もし私が、いま急に三次元の世界からつまみあげられて、四次元の世界へ移されたとしたら、どうであろう。すると、三次元の人間からは、私の姿は見えないであろう。しかし林檎の匂いが届くように、私の声だけは届くかもしれない。
ピース提督は、今私のことを、「四次元の人よ」と呼んだが、提督は私を、四次元の生物だと思ったからであろう。
私は、そうではない。
だが、謎のX大使こそ、まさしく四次元の生物であると思われる。
とにかく、私が気がつかなかったのにずばりと看破したピース提督の科学の眼力のほどを、畏敬しないではいられない。