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ちきゅうようさい

地球要塞

海野 十三

「譚海」1940(昭和15)年8月~1941(昭和16)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 71,834 字 · 144 页

青空文庫

隊員の声が、引込むと、とたんに、高声器が割れたかと思うほどの、ひどい雑音がとび出し、そのまま高声器は鳴らなくなってしまった。

私は、深い溜息をついた。

(久慈の奴、ついに超溶解弾を使ったか。使ったのはいいが、一切の証拠を、あそこに残してこなければいいが……)

私は、心配であった。

だが、いくらこっちで、心配をしてみても、向うのことが、どうなるものでもなかった。私は、一切をあきらめるしかなかった。

私は、スイッチを切った。そしてまた階段をのぼって、夜空の下に立った。

美しい夜だ。

星明りばかりで、他に、なんの灯火も見えない。視界のうちには、人工的な一切の光が、存在しないのであった。そしてこのクロクロ島のうえでは、自然はかくも美しいのであった。

光ばかりではない。音さえない。

浪の音さえ、聞えないのである。この島では、打ちよせる浪の音は、たくみに、補助動力に使われ、そして音を消してあった。だから、時折、頬のあたりをかすめる微風が、蜜蜂の囁くような音をたてるばかりだった。――この島では、光と音と、そして電磁波とが、すこぶる鋭敏に検出されるようになっていた。