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ちきゅうようさい

地球要塞

海野 十三

「譚海」1940(昭和15)年8月~1941(昭和16)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 71,834 字 · 144 页

青空文庫

このへんを妥協点として、我慢していただきたい」

すると、X大使は、急に狼狽したようなこえになって、

“それは賛成できない。平和になってしまうのでは、仕様がない。あくまで、欧弗同盟軍と闘ってもらわないと困る。闘わないというのなら、こっちにも覚悟がある”

「それは無理というものだ。余には、欧弗同盟軍を砲撃せよと命令する権限がない。ワイベルト大統領にいっていただきたい」

“おいおい、呑気なことをいっては困る。貴官の話を聞いていると、まるで、ワシントンの海軍省の応接室で、貴官の話を承っているようじゃないか。現在の事態は、そんなものではないぞ。おいピース提督、貴官及び貴艦隊は、いま私の掌中ににぎられていることを知らないのか”

「それは分っている。しかし余には、そんなことはできない」

と、ピース提督は、あくまで欧弗同盟軍に砲火を向けることを好まないと、云いはった。

宙吊り戦艦――有りえない奇蹟

私は、X大使の代弁者をつとめながら、妙な感にうたれていた。

X大使は、平和はいけないという。米連艦隊は欧弗同盟軍に対して戦闘を開始せよというのである。なぜ平和はいけないのであろうか。