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ちきゅうようさい

地球要塞

海野 十三

「譚海」1940(昭和15)年8月~1941(昭和16)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 71,834 字 · 144 页

青空文庫

但し、潜水兜とちがっているのは、その頂天のところに、赤い一本の触角のようなものが出ていて、これがたえず、ぷりぷりと厭な顫動をつづけているのだ。

球形の兜の中にある顔は、どうしたわけか、すこしも見えない。要するに、すこぶる厳重な、そして風変りの潜水服を着ている人間といった方が、早わかりがするであろう。

だがこの怪異な人物は、流暢な日本語を喋るのであった。

「貴様は、誰だ。何者か! 案内もなしに入ってきて、ちゃんと、名乗ったらどうだ」

私は、重ねて叫んだ。

「そんなに、わしの名が聞きたいか。わしには名前はないのだ。しかしそうはいっても、君は本当にしないだろう。では、気のすむようにX大使と称することにしよう。それでは改めて、御挨拶申し上げよう。吾輩は、X大使である。クロクロ島の酋長黒馬博士に、恐悦を申し上げる!」

X大使と名乗る怪異な人物は、すこぶる丁重な挨拶をした。私は、自尊心を傷つけられること、これより甚だしきはなかった。

X大使の試問――地球に資源がなくなったら

「おい、X大使。一体何用あって、無断で、クロクロ島へ闖入したのか。はっきり、わけをいえ」