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ちきゅうようさい

地球要塞

海野 十三

「譚海」1940(昭和15)年8月~1941(昭和16)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 71,834 字 · 144 页

青空文庫

これが太古であれば、天狗さまに出会ったとでも記すところであろう。さすがの私も、すっかり頭の中が混乱してしまった。

警鈴が、あまりに永いこと鳴り響くので、私はやっと正気づいたのであった。いや、全く、本当の話である。それほど、私はずいぶん永いこと放心の状態にあった。

(警鈴が鳴っているのに、オルガ姫は、なぜ出ないのであろう)

そんなことを、いくどもくりかえし思っているうちに私は、正気にかえったのであった。

「そうだった。オルガ姫は、壊れて、倒れていたっけ」

私は、起き上って、元の室内へと、とってかえした。

配電盤の前に、オルガ姫が前のとおりに倒れている。彼女の首は肩のところから離れて、私の机の下へ転がっている。

私は、彼女の体を抱き起して、壁に凭せかけた。それからこんどは、首を拾いあげた。その首を彼女の肩のうえに嵌めてやった。

彼女は、死んだようになって、すこしも動かない。

私は、オルガ姫の胸をあけた。

「ほう、こいつだな」

真空管の一つが、消えていた。

私は、新しい真空管を棚から下ろして、故障の真空管のあとに挿しこんだ。そして姫の胸を元どおりに閉じてやった。