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ちきゅうようさい

地球要塞

海野 十三

「譚海」1940(昭和15)年8月~1941(昭和16)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 71,834 字 · 144 页

青空文庫

私は、暗闇に向って、助手の名を呼んだ。

返事がない。

「オルガ姫!」

私は、更に声を大きくして叫んだ。

だが、その応答はなかったのである。

(こいつは、いかん。何ということだ!)

事態は重大化した。一大変事が起ったのである。どこにいても、すぐ返事をして飛んでくるはずのオルガ姫が、私の傍から離れ去ったのだ。

クロクロ島は、影を消すし、横に寝ているはずのオルガ姫まで、どこかへ行ってしまった。なにがなんだか、さっぱりわけがわからない。

私は、ふと気がついて、両手を伸ばして、あたりをさぐった。

「なんにもない。ハンドルもないのだ」

一大事だ。私はいつの間にか、極秘の潜水艇の外に出ていたのである。

私は、そっと両手をついて、頭をあげた。

「おッ、起きあがれるぞ!」

私は起き上った。だが、そこにも、次の大きなおどろきが待っていた。私の足の下に、踏んでいるはずの大地が感ぜられないのであった。

(足の裏が、無感覚になったのであろう)

そう思いながら跼んで、足の下をさぐった。このときぐらい、私が愕いたことはない。足の下には、なんにもない。床もなければ、大地もない。それは全く、空っぽの空間だけがあったのである。