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ちきゅうようさい

地球要塞

海野 十三

「譚海」1940(昭和15)年8月~1941(昭和16)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 71,834 字 · 144 页

青空文庫

地獄だ、無間地獄の中へ落ちこんだようなものだ。

私は、暗闇の中に竦んでしまって、化石のようになっていた。真の絶望だ!

私は、もう、すべてのことを忘れていた。鬼塚元帥からの密令のことも、欧弗同盟国と汎米連邦の開戦説のことも、また、その両国が連合して、大東亜共栄圏を脅かそうという風説のことも……。いや、そればかりではない。私は、今の今まで心配していたクロクロ島のことさえ忘れそれから、オルガ姫のことや、私の乗っていた筈の快速潜水艇のことさえ、一時忘れてしまった。

ただ、私の頭脳の中に一杯に拡がっていることは、この不思議な空間のことであった。どこからも解く糸口のない謎!

もしそのまま、私が後一時間も、そのままで放って置かれたら、恐らく私は、本当に発狂してしまったのかもしれない。

だが、私は、一つの大きなことを見落していたのである。この不可思議な現象を解く鍵が、まだ一つ、残っていたことを!……真の絶望ではなかったのである。

その鍵とは?

それは外でもない、「時間」という鍵であったのだ。

時間だった。その鍵は!

時間のみが、その不可思議の扉を開く力を持っていた。