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ちきゅうようさい

地球要塞

海野 十三

「譚海」1940(昭和15)年8月~1941(昭和16)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 71,834 字 · 144 页

青空文庫

「えっ、原因は何だ?」

と、私は叫んだが、オルガ姫は、

「舵器が、壊れました!」

と、同じ言葉をくりかえすばかりである。

私は反射的に、赤外線望遠鏡に目をあてて、視野を切りかえた。すると、鏡底に、敵の潜水艦の巨大な舳が現われたと思うと、さっとレンズの前を横ぎって消えたのを認めた。

「あっ、別な敵だ。背後から襲撃しやがったんだな。オルガ姫、いま背後を掠めて通ったやつを追いかけろ」

「はい」

オルガ姫は、素直にそう答えた。

しかし私はすぐさま、自分の出した号令の無意味さに気がついた。敵を追いかけろといっても、舵器がこわれてしまったのでは、どうにもならないのだ。わが潜水艇は、水中を走りだした。ただ、走りまわるだけであった。見当も何もあったものではない。わが舵器を壊して得々たる敵の潜水艦に、復讐の一弾を見舞うどころの騒ぎではないのだ。

事態はわれわれに、いよいよ不利となってきた。

「どうなるのだ、これから……」

さすがの私も、ちょっと不安な気持になった。うっかりしていると、このまま岩礁にでも舳を激突させ、不本意な自爆をやるようなことにならぬとも限らない。いや、限らないどころかその虞れが、充分にあるのだ。