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ちきゅうようさい

地球要塞

海野 十三

「譚海」1940(昭和15)年8月~1941(昭和16)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 71,834 字 · 144 页

青空文庫

「えっ、沈下? そいつは、いけない。どうにかしろ、おいオルガ姫……」

とまで、云ったことを覚えているが、そのあとは知覚を失ってしまった。

最悪の事態来る!――X大使よ力をかしてくれ

オルガ姫の饒舌に、私ははっと気がついた。

「うるさいな、しずかにしろ」

私は半ば無意識で、オルガ姫を叱りつけた。

でも、オルガ姫の饒舌は、停らなかった。

「おい、しずかにしろというのに……」

何といっても、オルガ姫はお喋りをやめない。

「……鎖が、また一本切れました。あ、また別の鎖が二本本艇の胴を巻きました。深度五十四、五十三、五十二、五十……」

私はやっと、完全に意識を取戻した。

(鎖だって……)

なにが、オルガ姫に鎖の話をさせているのであろうか。本艦の胴中に、鎖が巻きついて、どうしたというのか。まるで見当がつかないことが起った。

私は視力の弱った眼を、しきりに瞬きして赤外線望遠鏡をのぞいた。そしてようやく、本艇の付近で今、何事が起りつつあるかを諒解した。いや、たいへんである。いつの間にか、わが艇の胴のまわりには五、六本の太い鎖が、巻きついているのであった。その鎖を、だんだんと上に辿っていくと、四、五十メートル上に、巨大な船底が、天井のようになって、視界を遮っていた。