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はかば
墓場
西尾 正
「真珠」探偵公論社、1947(昭和22)年11・12月合併号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,934 字 · 20 页
僕はその頃ちょうど三浦半島めぐりをしたいと思っていたので、少し遠いけれどどうかと提案してみた。
すると、「ミウラ、ハントオ、オオ、ワンダフル!」と来た。それからちょっと声を落として、
「自動車代が、よほどかかるのでしょう。あいにく今もちあわせがないが」と、いった。
「われわれは、バスで行く。往復二円だ」
もちあわせがないなら取って来るまで待っていようという顔つきをして、僕はいった。
「二円! バスにしてはたかい!」
ペンダア君はあくまでロハで行くつもりらしく、たまたま僕が自転車掃除をしているのを見て、
「では、サイクル・ハイキングと行きましょう。わたくし、古い方のを拝借します」
サイクル・ハイキングも結構だけれど、何しろバスで一時間余、それも平坦な道ならともかく、でこぼこの山道を残暑のきびしい炎天下を、自転車で行くのは、――まあ僕は遠乗りには馴れているが、ペンダア君は前にもいうとおり白髪あたまの、もうそろそろ初老の域に入る年齢だしするのでゴルフはいかに僕より強くとも、馴れない自転車では中途でへばるにはきまっているのだ。
「自転車では無理だと思う」
「無理? いや大丈夫、この通り!」